会長挨拶・役員一覧

会長挨拶

会長 川上勝功『日本声楽発声学会』は、昭和39年(1964年)10月に城多又兵衛先生(初代理事長)と音声生理学がご専門の須永義雄博士の発意に基づき、その後柴田睦陸先生も発起人のお一人に加わり発足いたしました。発足当初は『発声指導法研究会』と銘打ち、「周知を集め、時間をかけて鋭意研究を進める」との設立趣意書を掲げておりました。

その後、昭和46年度の総会に於いて『日本声楽発声学会』と改称され今日に至っております。柴田先生の回想によりますと「当時は音楽界全般に新風を吹き込み、独創的、且つ、活動的な『学会』として、その動向が注目される事となりました。」とあります。

そして、又、「会員は九州より北海道まで全国に亘り、総会、研修会、講習会等の各会合に多数の会員が参加され、研鑽を続けて参りました。」ともあります。

更に「その間、長野県支部、山口県支部、中国支部が設立され、それぞれの地域に適した研修活動が展開されて来ました。」ともあります。

現在の学会は、一番歴史上長く活動を続けておられる、長野支部(今年の11月で100回目の例会を行う)と、関西支部(現在は余り本部と交流がなく非常に残念に思っている)、それに学会50周年に当たる年に、当時の末芳枝会長と豊田喜代美理事の発議により沖縄支部が発足し、3ヶ所の支部が存在しております。

今、現在は『学会』設立当初の会員の方々がご高齢になられ、この5年から10年位の間に多くの会員が退会されました。中には既に物故者となられた方も少なからずおられるようです。

これからの『学会』の課題の大きな目標は、やはり若い世代の大学生や、学校の先生、そして、合唱の指導者や指揮者、ヴォイストレーナーを名乗る方々、更には芸大を始めとする各音楽大学や、教育大学の先生方に目を向けていただき、当『学会』の会員になっていただくことで、会員数を大幅に増やして行きたいと考えております。そして、共に勉強し、共に研鑽を積んで行くことが、欧米に比して大きく遅れている『声楽発声技術』の向上に繋がって行くものと確信いたしております。

発足以来55年の歳月が過ぎました。『学会』の主目的である声楽家と医学者による共同研究は、大きく進んで来て、且つて分からなかった、音声生理学上の研究も、この5年〜10年の間の科学的な進歩により、探索、探求がより一段と前進し、手に取るように、或いははっきりと目に見えるようになって参りました。

勿論のこと、今の段階では研究の途上であり、ましてや、まだまだ未解明の事も多々あるものと思われます。全てが解明された暁には、この『学会』の活動も、不必要となってしまうのかも知れません。

元理事長の米山先生が言っておられたように「50年の計、100年の計」となるかも知れません。唯、私が思うには、今まで『学会』では内々で研究成果を上げて参りました。しかし、私達は大変不幸な時期を過ごし、一時は学会が崩壊してしまうのではないかと思える程苦境に立たされました。ひたすら忍耐に忍耐を重ね、前会長永井先生の、正に捨て身のご努力で、ようやく元の軌道に戻す事が出来ました。そこで、今こそ、その研究成果を外に向かって発信して行く時が来たのではないかと思った次第です。

まず取り組まなければならないのは、発声を指導する方々に『発生のしくみ』をしっかりと認識していただき、その上で、複雑な働きを極めてシンプルな形で捉えていただく事です。そして美しい声、美しい響きを作る為の実践を共に学んで行く事だと考えております。

科学的(音声生理学)な理論に基づいて、まず発声の基礎作りを全員の共通理解を持って実践して行けたらと思います。

私のアメリカ人の先生はいつも、発声は“It is easy !”と言っておられました。“It is simple!”の意もあると思いますが、成る程、いろいろと自分の中で理解が進むと本当に“It is easy!”でしたし、立派に結果を出す事も出来ました。

これには、理事の先生方も共通理解が必要となります。まずプロジェクトを立ち上げ、勉強会を開いて、音声学者の立場からと、声楽家の立場から。より深く討議を重ね、共通理解をして参りたいと思います。

私達、声楽家は、身体そのものが、楽器となるわけですから、スポーツの選手と同じで、身体の仕組みと働きを良く知らねばならないと先達の大先生方に教わって参りました。

今、スポーツの世界では“Evidence base”と言う言葉が大変重要であると言われております。余り聞き慣れない言葉ですが、要は「科学的根拠に基づいて基礎作りを実践する」と言うような意味合いではないでしょうか。

そして、もう一つ、“貪欲であり続ける事こそが、謙虚な姿勢に繋がる”とも言われます。私が最も大切と思っている言葉です。

まだ書き足りない事が、山程もあるのですが、余りに長くなってしまいますので、次回の『学会通信』にでも書かせていただくことにいたします。

これからの3年間で、発声学会をどのように発展させて行ったら良いのか、日々模索しながら前進して行くつもりでおります。

最後になりましたが、会員の皆様からの大いなる叱咤激励を切に望んでおります。一緒に勉強し、一緒に頑張ろうではありませんか。

平成30年度 役 員 名 簿 一 覧

[ 役 職 ]
( 敬称略 )
 
顧問
堀内 久美雄
音楽之友社取締役社長
 
丹羽 勝海
元日本大学芸術学部・大学院教授・声楽家
 
嶺  貞子
東京藝術大学名誉教授・声楽家(2018年10月13日逝去本名峰村)
 
宮原 卓也
元武庫川女子大学教授・医学博士・声楽家
 
山田  実
桜美林大学名誉教授・学芸博士・声楽家
相談役
小林 武夫
帝京大学千葉総合医療センター耳鼻咽喉科教授・医学博士
 
佐藤心乃介
元江東区中学校長・声楽家
 
三林 輝夫
東京藝術大学名誉教授・声楽家
会長
永井 和子
大阪音楽大学名誉教授・声楽家
副会長兼
事務局長
 
 
 
川上 勝功
日本大学芸術学部講師・声楽家・合唱指揮者
副会長
佐々木正利
岩手大学名誉教授・声楽家
理事
泉  恵得
琉球大学名誉教授・声楽家
 
河合 孝夫
河合孝夫音楽研究所所長・声楽家
 
齊藤  祐
鹿児島大学教授・日本教育大学協会全国音楽部門大学部会代表・声楽家
 
重田 敦子
重田敦子発声研究所代表・元慶應義塾女子高等学校教諭
 
鈴木慎一朗
鳥取大学准教授・博士(学校教育学)
 
竹田 数章
仙川耳鼻咽喉科医院院長・桐朋学園音楽大学・洗足学園音楽大学臨床音声学講師
 
豊田喜代美
声楽家・博士(知識科学)・元沖縄県立芸術大学・大学院教授
 
永原 恵三
お茶の水女子大学基幹研究院教授・博士(文学)
 
西浦美佐子
西浦耳鼻咽喉科・沖縄県立芸術大学音声生理学講師
 
虫明眞砂子
岡山大学教授・声楽家
監事
池田 京子
信州大学教授・声楽家
 
清水 喜承
学習院名誉教授・声楽家
名誉会員
飯田 忠文
元信州大学教授・声楽家
 
川村 英司
日本フーゴ―・ヴォルフ協会理事長・声楽家
 
高橋 大海
東京藝術大学名誉教授・声楽家
事務局
安原 道子